就職活動のデジタルシフトが加速する中、特にZ世代(1995年以降生まれ)の採用においては、TikTokを中心としたSNSプラットフォームの活用が不可欠となっています。本記事では、Z世代の就活生のSNS利用実態と、TikTokを活用した採用施策の成功事例を詳しく解説します。

Z世代の就職活動におけるSNS利用の実態
情報収集チャネルの変化
最新調査によると、Z世代の就活生の実に8割強がSNSを就職活動の情報源として活用していると言われています。特筆すべきは、プラットフォーム選択の傾向です。
- TikTok:68%
- Instagram:72%
- X(旧Twitter):65%
- Facebook:45%
コンテンツ消費の特徴
Z世代の就活生が重視する情報の特徴として、以下の3点が挙げられます:
- 短時間で本質的な情報が得られること
- 視覚的に企業の雰囲気が伝わること
- 現役社員の等身大の姿が見られること
特にTikTokでは、15秒から3分程度の動画で、これらの要素を効果的に詰め込むことが可能です。
TikTok採用の具体的成功事例
事例1:IT企業A社のバズった採用動画
社員の一日の業務風景を60秒にまとめた動画シリーズを展開。特に人気を集めたのは、新入社員が上司とペアプロをする様子を、トレンド音楽に合わせて編集した動画でした。
- 再生回数:150万回超
- いいね数:22万
- フォロワー増加:8,000人以上
- 採用への直接的効果:インターン応募者前年比280%増
事例2:アパレル企業B社の店舗スタッフ採用戦略
全国の店舗スタッフが自主的に制作する「職場の日常」動画を促進。ハッシュタグ「#B社の1日」を活用し、統一感のあるコンテンツを展開。
成果:
- 投稿総数:年間1,200本以上
- 採用費用:前年比60%削減
- 応募者の質:面接通過率15%向上
事例3:食品メーカーC社の企業文化発信
商品開発の裏側や、社員の働き方改革への取り組みを、ドキュメンタリータッチで紹介するシリーズを展開。
特徴的な施策:
- 若手社員による商品開発ストーリー
- 在宅勤務と出社のハイブリッドワークの実態
- 社内イベントやチームビルディングの様子
結果:
- エンゲージメント率:業界平均の3倍
- 新卒応募者の多様化:文系理系比率の改善
- 内定承諾率:前年比25%向上
成功のポイントと実践的なテクニック
1. コンテンツ制作の基本戦略
- 冒頭3秒での視聴者の興味惹起
- 企業の実態を飾らず等身大で表現
- トレンド音楽やエフェクトの効果的活用
- 定期的な投稿サイクルの確立
2. エンゲージメント向上のコツ
- ハッシュタグ戦略の最適化
- コメント欄での積極的なコミュニケーション
- 社員と応募者の双方向やりとりの促進
- 企業公式アカウントと社員個人アカウントの連携
3. 運用体制の整備
- 若手社員を中心としたコンテンツ制作チームの結成
- 投稿ガイドラインの策定
- 緊急時の対応フローの確立
- 効果測定と改善サイクルの構築
今後の展望と課題
TikTokを活用した採用活動は、今後さらなる進化が予想されます。特に注目すべき点として:
- AIを活用したコンテンツ最適化
- ライブ配信機能の採用活動への活用
- 他のSNSプラットフォームとの連携強化
- データ分析に基づく採用戦略の精緻化
一方で、以下のような課題にも注意が必要です:
- プライバシーへの配慮
- ブランドイメージの一貫性維持
- コンテンツ制作リソースの確保
- ROIの適切な測定
まとめ
Z世代の採用においてTikTokの活用は、もはや選択肢ではなく必須となっています。成功のカギは、自社の強みを活かしながら、Z世代の価値観や情報収集習慣に寄り添ったコンテンツを継続的に提供することにあります。
また、単なる採用広報としてではなく、企業文化や価値観を伝えるコミュニケーションチャネルとして活用することで、より効果的な採用活動が実現できるでしょう。
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。