ユーザー生成コンテンツを活用したマーケティング手法
SNSマーケティングの世界で、近年特に注目を集めているのが「ユーザー生成コンテンツ(UGC)」です。Instagram、TikTok、X(旧Twitter)、Facebookなど、主要なSNSプラットフォームにおいて、UGCを効果的に活用することで、ブランドの信頼性向上やエンゲージメント率の上昇につながっています。
本記事では、UGCの魅力と、それを活用したマーケティング手法について詳しく解説していきます。

ユーザー生成コンテンツ(UGC)とは?
UGCとは、ブランドや企業が制作したものではなく、一般のユーザーが作成し共有するコンテンツのことを指します。具体的には以下のようなものが挙げられます:
- 製品レビュー
- 使用中の写真や動画
- ブランドに関する投稿やコメント
- ハッシュタグキャンペーンへの参加投稿
例えば、あるスニーカーブランドのファンが、新製品を履いて街を歩く様子をInstagramに投稿する。これがUGCの一例です。
なぜUGCが注目されているのか?
- 信頼性の向上
消費者は企業の広告よりも、実際のユーザーの声を信頼する傾向があります。UGCは生の声として受け取られやすく、ブランドの信頼性向上につながります。 - コスト効率の良さ
ユーザーが自発的に作成するコンテンツなので、制作コストを抑えられます。 - エンゲージメントの向上
UGCは他のユーザーの共感を得やすく、高いエンゲージメント率が期待できます。 - リーチの拡大
UGCを投稿したユーザーの友人・フォロワーにも自然とブランドが露出されます。 - 生きたマーケティングリサーチ
ユーザーの生の声や使用シーンを知ることができ、貴重な市場調査になります。
私が以前関わったアウトドアブランドでは、顧客がキャンプや登山で製品を使用している写真を積極的に公式アカウントで紹介していました。その結果、製品の実用性や信頼性が効果的に伝わり、売上が前年比20%増加したんです。UGCの力を目の当たりにした瞬間でした。

UGCを活用したマーケティング手法
1. ハッシュタグキャンペーンの実施
特定のハッシュタグを設定し、ユーザーに投稿を促すキャンペーンは、UGC活用の王道と言えます。
例:ある化粧品ブランドが「#私の美肌タイム」というハッシュタグを設定。ユーザーがスキンケア中の自撮り写真を投稿するキャンペーンを実施し、大きな盛り上がりを見せました。
2. 優秀作品の表彰・リポスト
ユーザーの投稿の中から特に優れたものを選び、公式アカウントでリポストしたり、表彰したりする方法です。
例:あるカメラメーカーが、自社製品で撮影された写真コンテストを定期的に開催。入賞作品を公式Instagramで紹介し、プロ顔負けの作品が多数集まりました。
3. インフルエンサーとのコラボレーション
影響力のあるユーザーとコラボし、製品やサービスの魅力を伝えてもらう方法です。
例:ある旅行会社が、人気旅行系YouTuberとコラボし、新しいツアープランを体験してもらいました。その様子を動画で共有することで、リアルな旅行体験を多くの視聴者に伝えることができました。
4. 顧客の声を製品開発に活用
UGCを単なるマーケティングツールとしてだけでなく、製品開発にも活用する企業も増えています。
例:あるスポーツウェアブランドが、SNSでユーザーから寄せられた改善点や要望を元に、新製品の開発を行いました。その過程をストーリー仕立てで公開し、ユーザーの参加意識を高めることに成功しました。
5. ユーザー参加型のストーリー作り
ブランドのストーリーをユーザーと一緒に作り上げていく手法です。
例:あるコーヒーチェーンが「#私の朝の1杯」というキャンペーンを実施。ユーザーから寄せられた多様な朝のコーヒータイムの様子を、ブランドのストーリーの一部として紹介しました。

UGCを成功させるためのポイント
- 明確なガイドラインの設定
投稿の規約や著作権の取り扱いなど、明確なガイドラインを設定し、トラブルを防ぎましょう。 - 参加のハードルを下げる
複雑なルールや難しいテーマは避け、誰でも気軽に参加できるキャンペーンを心がけましょう。 - 適切な報酬や認知の提供
優秀な投稿に対しては、適切な形で報酬や認知を与えることで、参加意欲を高められます。 - プラットフォームの特性を理解する
InstagramとTikTokでは求められるコンテンツの形が異なります。各プラットフォームの特性を理解し、適切なアプローチを取りましょう。 - 法的リスクへの対応
個人情報の取り扱いや著作権の問題には十分注意し、必要に応じて法務部門と連携しましょう。 - ネガティブな投稿への対応
批判的な投稿に対しても誠実に対応することで、かえってブランドの信頼性を高められる場合があります。 - 長期的な視点を持つ
UGCの効果は即時的に現れないこともあります。長期的な視点を持って継続的に取り組むことが重要です。
UGC活用の今後の展望
UGCの活用は今後さらに進化していくと予想されます。例えば、AI技術の発展により、大量のUGCから有益な情報を自動で抽出し、マーケティング戦略に活かすことが可能になるかもしれません。
また、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)技術の普及により、より没入感のあるUGCの創出も期待されます。例えば、ユーザーが自分の部屋にバーチャルで商品を置いてみて、その様子を共有するといったことが一般的になるかもしれません。
さらに、ブロックチェーン技術を活用し、UGCの著作権管理や報酬の分配を透明化する動きも出てくるでしょう。

まとめ:UGCは現代のクチコミマーケティング
UGCを活用したマーケティングは、デジタル時代のクチコミマーケティングと言えるでしょう。消費者の声を直接活用することで、より信頼性の高い、効果的なマーケティングが可能になります。
しかし、UGCの活用には慎重さも求められます。ユーザーの善意や創造性を尊重しつつ、適切にブランドメッセージを伝えていくバランス感覚が重要です。
SNSの世界は日々変化しています。新しいプラットフォームの登場や、ユーザーの行動パターンの変化にも常に注意を払い、柔軟に戦略を調整していく必要があります。
UGCを上手に活用することで、ブランドとユーザーの距離がぐっと近づき、より強固な関係性を築くことができるでしょう。皆さんも、自社の製品やサービスに合ったUGC戦略を考え、実践してみてはいかがでしょうか。きっと新たな可能性が開けるはずです。
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。