Web制作におけるアクセシビリティの重要性
「アクセシビリティって、目の不自由な人のための対応でしょう?」
Web制作の現場で、こんな声を聞くことがあります。でも実は、アクセシビリティの向上は、すべてのユーザーにとって価値があるんです。今回は、なぜアクセシビリティが重要なのか、そしてどのように実現していくのか、具体例を交えながら詳しく解説していきます。

アクセシビリティが注目される背景
最近、多くの企業がアクセシビリティ対応に力を入れ始めています。ある大手ECサイトでは、アクセシビリティの改善後、全体の購入完了率が15%向上したという事例も。実は、「誰もが使いやすい」サイトを目指すことは、ビジネス的にも大きなメリットがあるんです。
アクセシビリティ対応のメリット
- ユーザー層の拡大
- 高齢者や障がいを持つ方へのリーチ
- 様々なデバイスからのアクセス対応
- 異なる利用環境への配慮
- SEO効果の向上
- 適切なマークアップによる検索性向上
- コンテンツの構造化
- 読み上げ対応による情報伝達の明確化
- ブランド価値の向上
- 企業の社会的責任の実践
- ユーザーフレンドリーな印象づくり
- 先進的な取り組みとしてのアピール
具体的な改善ポイント
1. 視覚的なアクセシビリティ
コントラストの確保
「かっこいいデザイン」を追求するあまり、文字が読みにくくなっていませんか?
改善のポイント:
- テキストと背景のコントラスト比は4.5:1以上
- 重要な情報は7:1以上を推奨
- カラーユニバーサルデザインの考慮
実践例:
あるニュースサイトでは、スタイリッシュな灰色の文字を使用していましたが、コントラストを改善したところ、平均滞在時間が1.5倍に増加しました。
文字サイズと行間
読みやすさは、実は細かな調整で大きく変わります。
具体的な数値:
- 本文の最小サイズは16px
- 行間は1.5〜2.0が理想的
- スマホでも読みやすい余白設定
2. 構造化とナビゲーション
見出しの適切な使用
検索エンジンもユーザーも、適切に構造化された情報を好みます。
実装のポイント:
- h1タグは1ページに1つ
- 見出しの階層を適切に設定
- 内容を適切に表現する見出し文
キーボード操作への対応
マウスが使えない環境でも、スムーズに操作できることが重要です。
必要な対応:
- フォーカス状態の視認性確保
- タブ操作での適切な移動順序
- ショートカットキーの実装
3. マルチメディアコンテンツ
画像の代替テキスト
「alt属性さえつければいい」という認識は危険です。
効果的な代替テキスト:
<!-- 良い例 -->
<img src="spring-sale.jpg" alt="春の新作バッグ20%オフキャンペーン 3月31日まで">
<!-- 改善が必要な例 -->
<img src="banner01.jpg" alt="バナー">
動画コンテンツの対応
音声が聞けない環境でも内容が理解できるようにしましょう。
必要な対応:
- 字幕の提供
- 文字起こしの用意
- 操作コントロールの実装
4. フォーム設計
直感的な操作性
フォームは、多くのユーザーが躓きやすいポイントです。
改善のポイント:
- 分かりやすいラベル表示
- エラーメッセージの適切な提示
- 必須項目の明確な表示
実践例:
あるサービスのお問い合わせフォームでは、以下の改善で完了率が25%向上:
- 入力項目の削減
- インライン検証の実装
- エラー箇所への自動スクロール

アクセシビリティ向上のプロセス
1. 現状評価
まずは、現在のサイトの状況を把握しましょう。
チェックポイント:
- 自動チェックツールの活用
- 実際のユーザーテスト
- 様々なデバイスでの検証
2. 優先順位の設定
すべてを一度に改善するのは現実的ではありません。
取り組みの順序:
- クリティカルな問題の解決
- 基本的なガイドライン対応
- 追加的な改善施策
3. 継続的な改善
アクセシビリティは、一度の対応で終わりではありません。
継続的な取り組み:
- 定期的な監査
- ユーザーフィードバックの収集
- 新しい技術への対応
まとめ:アクセシビリティ向上の3つのポイント
- すべてのユーザーのための設計
- 段階的な改善の実施
- 継続的なモニタリング
アクセシビリティの改善は、特別な対応ではなく、よりよいWeb体験を提供するための基本的な取り組みです。初めは小さな改善から始めて、徐々にレベルアップしていくことをおすすめします。
結果として、より多くのユーザーに価値を提供できるサイトが実現できるはずです。それは、ビジネスの成長にもつながっていく重要な投資となるでしょう。
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。