SNS広告費用対効果を測るための具体的な指標とは?
「SNS広告を出稿したものの、本当に効果があったのかわからない…」
こんな悩みを抱える担当者は少なくありません。本記事では、SNS広告の費用対効果(ROI)を正確に測定するための具体的な指標と、その活用方法について詳しく解説します。

なぜ広告効果の測定が重要なのか
SNS広告は、適切に運用すれば非常に効果的なマーケティング手段となります。しかし、闇雲に予算を投じても期待通りの成果は得られません。
ある調査によると、広告効果を適切に測定・分析している企業は、そうでない企業と比べて広告費用対効果が平均で30%以上高いという結果が出ています。
押さえるべき主要な指標
1. 基本的な到達指標
a) リーチ数とインプレッション数
- リーチ数:広告に接触したユニークユーザー数
- インプレッション数:広告が表示された総回数
これらの指標は、広告の露出度を測る基本となります。ただし、これだけでは効果測定として不十分です。
b) エンゲージメント率
エンゲージメント率 = (いいね数+コメント数+シェア数) ÷ リーチ数 × 100
業界平均は2~5%程度ですが、業種や商材によって大きく異なります。
2. コスト関連指標
a) CPM(Cost Per Mille)
1,000インプレッション当たりのコスト
CPM = 広告費用 ÷ インプレッション数 × 1,000
b) CPC(Cost Per Click)
1クリック当たりのコスト
CPC = 広告費用 ÷ 総クリック数
c) CPA(Cost Per Action)
1コンバージョン当たりのコスト
CPA = 広告費用 ÷ コンバージョン数
3. コンバージョン関連指標
a) CVR(Conversion Rate)
CVR = コンバージョン数 ÷ クリック数 × 100
b) ROAS(Return On Ad Spend)
ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告費用 × 100
効果的な測定のためのポイント
1. 適切な測定期間の設定
広告効果の測定期間は、以下の要素を考慮して設定します:
- 商品・サービスの特性
- 顧客の購買サイクル
- 季節性や市場トレンド
例えば、高額商材の場合、検討期間が長くなるため、最低でも3ヶ月程度の測定期間を設けることをお勧めします。
2. クロスデバイス計測の重要性
現代の消費者は複数のデバイスを使い分けており、以下のような行動パターンが一般的です:
- スマートフォンで広告を見る
- PCで詳細を確認する
- 実店舗で購入する
このため、デバイスをまたいだ行動の追跡が重要になります。
3. アトリビューション分析の活用
最終的なコンバージョンにつながるまでの、ユーザーの接点を分析することで、より正確なROI測定が可能になります。
- ファーストタッチ分析:最初の接点を重視
- ラストタッチ分析:最後の接点を重視
- 線形分析:すべての接点を均等に評価

効果測定の実践例
事例1:アパレルブランドのケース
Instagram広告を出稿し、以下の指標で効果を測定:
- CPM:800円
- クリック率:2.5%
- CVR:3%
- ROAS:280%
この数値から、広告費用以上の売上を獲得できていることが分かります。
事例2:飲食店のケース
Facebook広告で来店促進キャンペーンを実施:
- CPA(来店):1,200円
- 平均客単価:4,000円
- リピート率:25%
顧客生涯価値を考慮すると、十分な投資効果があると判断できます。
改善のためのアクションプラン
1. PDCAサイクルの確立
- Plan:KPIの設定
- Do:広告の出稿
- Check:効果測定
- Action:改善策の実施
2. クリエイティブのA/Bテスト
- 画像のバリエーション
- コピーの表現
- 訴求ポイント
- 配信時間帯
3. ターゲティングの最適化
- 類似オーディエンスの活用
- リターゲティングの調整
- 興味関心ターゲティングの精緻化
まとめ
SNS広告の効果測定は、単一の指標だけでなく、複数の指標を組み合わせて総合的に判断することが重要です。
特に重要なのは、自社のビジネスモデルに合わせた適切なKPIの設定です。売上に直結する指標だけでなく、ブランド認知やエンゲージメントなど、中長期的な成果につながる指標も組み合わせることで、より正確な効果測定が可能になります。
まずは基本的な指標から始めて、徐々に測定項目を増やしていくことをお勧めします。継続的な測定と改善を重ねることで、より効率的な広告運用が実現できるはずです。
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。