ストーリー機能を活用したブランドストーリーテリング
SNSマーケティングの世界で、「ストーリー」という言葉が新たな意味を持ち始めています。かつては単なる物語を指す言葉でしたが、今やインスタグラム、フェイスブック、そしてついに参入したXまで、主要なSNSプラットフォームが提供する重要な機能となりました。本稿では、このストーリー機能を活用したブランドストーリーテリングの効果と実践方法について、深掘りしていきます。
ストーリー機能とは
まず、ストーリー機能の基本を押さえておきましょう。これは、24時間で自動的に消える短時間の投稿を指します。写真、動画、テキスト、スタンプなどを組み合わせて、瞬間的な体験を共有するのに適しています。
各プラットフォームの特徴:
- インスタグラム:最も普及しており、多彩な機能を提供
- フェイスブック:より幅広い年齢層にリーチ可能
- X:テキストベースのプラットフォームに新たな視覚要素を追加
- TikTok:「ストーリー」という名称ではありませんが、類似の短時間動画機能を提供
なぜストーリー機能が効果的なのか
- 即時性と緊急性
24時間で消える特性が、視聴者に「今すぐ見なければ」という気持ちを起こさせます。 - 気軽さと親近感
完璧に編集された投稿よりも、素の表情が見えるコンテンツが共感を呼びます。 - 高いエンゲージメント率
通常の投稿よりもストーリーの方が、ユーザーの反応率が高いことが多いです。 - 多様な表現方法
アンケート、Q&A、カウントダウンなど、様々な機能で双方向のコミュニケーションが可能です。 - アルゴリズム優遇
多くのプラットフォームで、ストーリーを頻繁に利用するアカウントが優遇される傾向があります。

ブランドストーリーテリングへの活用法
1. 日常の一コマを共有
ブランドの人間味を示すのに最適です。例えば、朝一番にコーヒーを入れる様子や、チームミーティングの雰囲気など、普段見えない部分を共有することで親近感が生まれます。
2. 製品開発の裏側
新製品のティーザー広告や、開発プロセスの一部を公開することで、ファンの期待感を高められます。「明日、大きな発表があります!」といったカウントダウン投稿も効果的です。
3. 従業員紹介
「今日のスタッフ」コーナーを設け、従業員の個性や専門性をアピール。採用活動にも良い影響を与えます。
4. ユーザー投稿のリポスト
顧客が投稿した商品使用シーンや感想を、許可を得てストーリーでシェア。信頼性の向上とコミュニティ感の醸成につながります。
5. 限定情報の公開
フォロワー限定のセール情報や、ストーリーを見た人だけが使える割引コードの配布など、特別感を演出します。
6. ライブ配信との連携
製品発表会やQ&Aセッションなどのライブ配信を予告し、終了後はハイライトをストーリーで共有。
7. 季節やイベントに合わせた演出
祝日や特別な日に合わせたデザインを使用し、時期に応じたブランドイメージを構築します。
プラットフォーム別戦略
インスタグラム
- ビジュアル重視のコンテンツ作り
- ハイライト機能を活用し、重要なストーリーを永続的に表示
- ショッピング機能との連携で、直接的な販売促進も
フェイスブック
- より詳細な情報提供が可能
- シニア層へのアプローチにも適している
- グループ機能と連携し、コミュニティ形成に活用
X(旧Twitter)
- テキストとの組み合わせを重視
- ニュース性の高い内容や、リアルタイムの反応に適している
- ハッシュタグを効果的に使用し、トレンドへの参加を狙う
TikTok
- 音楽やエフェクトを駆使した、エンターテイメント性の高い短尺動画
- チャレンジ企画など、参加型コンテンツの展開
- 若年層へのアプローチに最適

運用のポイント
- 一貫性を保つ
ブランドカラーやロゴの使用など、視覚的一貫性を維持しつつ、ストーリーならではの柔軟性も活かします。 - 投稿頻度のバランス
毎日複数回の投稿が理想的ですが、質を落とさないことが重要。無理のない範囲で定期的に投稿しましょう。 - インタラクティブ要素の活用
アンケートやクイズ機能を使い、フォロワーの意見を積極的に取り入れます。 - 適切なハッシュタグの使用
関連性の高いハッシュタグを選び、発見可能性を高めます。ただし、過剰使用は避けましょう。 - ストーリー専用の素材作成
縦型フォーマットに最適化された素材を用意。モバイルでの視聴体験を重視します。 - パフォーマンス分析
視聴回数や離脱率など、各指標を細かくチェック。人気のコンテンツタイプを把握し、戦略に反映させます。
注意点とチャレンジ
- プライバシーへの配慮
従業員や顧客を撮影する際は、必ず許可を得ましょう。 - ブランドイメージの一貫性
カジュアルな表現は良いですが、ブランドの核となる価値観から逸脱しないよう注意が必要です。 - 著作権の遵守
音楽や画像の使用には細心の注意を。ライセンスフリーの素材を活用するのも一案です。 - 炎上リスクへの対策
即時性が高いため、投稿前のチェック体制を整えておくことが重要です。 - アルゴリズムの変化への対応
各プラットフォームの仕様変更は頻繁。最新情報をキャッチアップし、柔軟に対応しましょう。
まとめ
ストーリー機能は、ブランドの人間味を伝え、顧客との距離を縮める強力なツールです。しかし、その効果を最大限に引き出すには、戦略的なアプローチが欠かせません。
ブランドの核となる価値観を軸に、各プラットフォームの特性を活かしたコンテンツ作りを心がけましょう。そして何より、フォロワーとの対話を大切にすること。ストーリー機能を通じて築かれる関係性こそが、長期的なブランド価値の向上につながるのです。
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。